
ISO9001とは、企業が提供するサービスや製品の品質維持・向上につながるマネジメントシステムの国際規格です。認定取得が実現すれば、顧客からの信頼を高めるだけでなく、新規案件の獲得や社内環境の整備、生産性の向上にも寄与するでしょう。
本記事では、ISO9001の概要と要求事項、取得にかかる具体的な期間や費用について解説します。
目次
そもそもISOとは何?
ISO9001の説明に入る前に、まずはISOについて解説します。ISOは、International Organization for Standardization(=国際標準化機構)の略称で、スイスにある非政府機関として世界各国に知られています。
ISOでは、国際的な規格を定めており、ISO規格に準拠した製品やサービスは、国際的な取引において通用するものといえます。なお、ISO規格の制定や改定は、世界160か国以上の参加国によって決定されています。
ISO規格には、「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」があります。モノ規格は、製品の形状や寸法などに世界的な基準を定めたものです。たとえば、非常口のマークやクレジットカードのサイズなどを規定しています。
一方、マネジメントシステム規格は、企業や組織のリスク管理体制を定めており、たとえば、製品のマネジメントシステムやセキュリティマネジメントシステムなどがあります。
マネジメント規格は2人以上の組織を対象としており、企業だけでなく、地方自治体や病院なども含まれます。ISO規格とは、企業や組織のルールや仕組み、さらには運用状況が国際的な基準に達しているかを評価するものといえるでしょう。
ISO9001とは
ISOには、製品の形状や寸法の「モノ規格」と、企業の品質活動や環境活動を管理する「マネジメントシステム規格」の2つがあります。
ISO規格のなかでも、ISO9001は製品やサービスに関する品質のマネジメントシステムに関する国際規格です。ここでは、ISO9001の定義・目的や歴史、ほかのISO規格との違いについて詳しくご紹介します。
ISO9001の定義
ISO9001とはISO規格のひとつで、製品やサービスの品質に関する国際的な基準を定めています。現在、最も広く採用されているマネジメントシステム規格です。全世界170ヵ国以上、100万を超える組織が取得しています。
ISO9001の目的
ISO9001は、製品・サービスの一貫性を図り、顧客の満足度向上を図ることを目的としています。自社のサービスや製品を提供する際のマネジメントシステムを確立し、顧客の要求を満たすものを提供できるのです。
ISO9001には、価格や納期についての規定もあります。さらに、問題点がある際には、最善の方法を導くことも大切にしています。品質管理システムを運用から改善まで一貫して行うことで、より優れた製品とサービスの提供につなげているのです。
また、組織内の意識向上や仕組み改善もISO9001認定の目的のひとつといえるでしょう。ISO 9001の認定を受けるためには、社内の仕組みや運用方法を見直す必要があり、認証取得に取り組むことで組織内の問題を解決し、組織全体の意識向上を図れます。
ISO9001の歴史
ISO自体は1947年にロンドンで発足し、ISO9001は、1950年代にアメリカとイギリスが軍事調達の基準を定めたことが起源です。
1987年、ISOが最初の規格とされているBS5750に基づき、ISO9001を公開しています。なお、この年時点では、BS5750の名前で発行されていました。
1994年にISO9000に置き換えられ、2000年、「ISO9001:2000」が発行されています。その後、2008年にプロセスアプローチが強化され、2015年にもさらなる変更が加わりました。
2025年3月現在、「ISO9001:2015」が最新版とされています。
ほかのISO規格との違い
ISO9001以外にも、日本で多くの企業が取得しているマネジメントシステム規格があります。ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する国際規格です。企業や組織が環境に配慮した事業活動を行うための枠組みを示しており、改善が必要な箇所には対策を実施することが求められます。
ISO27001は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格です。情報の機密性、完全性、可用性の3つの要素を適切に管理し、情報を有効的に活用するための組織の仕組みを示しています。
ISO 9001が製品やサービスに関連する基準であるのに対し、ISO 14001は環境、ISO 27001は情報に焦点を当てており、それぞれの運用や管理が審査され、認証が行われています。
こちらの記事では、ISO14001について解説しています。基礎知識やメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
品質マネジメントシステム(QMS)とは?
品質マネジメントシステム(Quality Management System=QMS)は品質管理システムと呼ばれており、より良い製品やサービスを持続的に提供することを目指す仕組みのことです。
品質マネジメントシステムでは、企業が目標を達成するための取り組みを定めて実行し、改善を重ねながらより良い製品やサービスを提供し続けることを目指します。単にルールに従うだけでなく、問題点がなかったかを確認し、解決策を検討することも求められます。
なお、品質マネジメントシステムには、ISO9001のほかにもさまざまあり、JIS規格も品質マネジメントシステムのひとつです。JIS規格は日本工業規格とも呼ばれ、日本の国家規格として知られています。
さらに食品安全に特化したSQF(食品安全システム)も、品質マネジメントシステムのひとつといえるでしょう。米国にある「FMI(Food Marketing Institute)」が管理しており、食品安全に関する認証規格として知られています。
このように、ISO9001以外にも品質マネジメントシステムの規格は複数あり、自社に合うものを選ぶ必要があるといえるでしょう。
ISO9001認証取得企業が多い業種と特徴
ISO 9001認証の取得は建設業やエンジニアリング、小売業界など多くの企業で行われていますが、とくに製造業で多く実施されています。
ここからは、日本国内でISO 9001がどのような企業に取得・認定されているのかをご紹介します。ISO 9001を取得している業種や、取得企業の特徴についても詳しくまとめました。
ISO9001取得企業数
2023年12月に「公益財団法人 日本適合性認定協会」が実施したアンケートによると、ISO 9001の取得認証を受けている機関は、25,925件にのぼります。
なお、環境マネジメントシステムであるISO14001は14,460件、情報セキュリティマネジメントシステム規格のISO27001は、4,813件です。
しかし、ISO9001の取得企業は減少傾向にあるとされています。これは、認証取得後に取り消しや放棄をする企業が増えているためです。審査にかかる費用や手間が障害となり、コストパフォーマンスの低さが影響していると考えられています。
ISO9001取得が多い業種
ISO9001認定を取得している企業の大半は製造業です。なかでも、金属加工や電気的・光学的装置などの製造企業が取得に積極的です。また、建設業でも多くの企業がISO9001を取得しています。
そのほか、エンジニアリングや研究開発を行う専門・技術サービス業や、卸売業などでも認証取得企業が増えています。また、教育機関や公共行政でも、少数ですが認証を取得している企業があり、幅広い業種で行われているといえるでしょう。
ISO9001取得企業の特徴
ISO 9001は製品やサービスの品質に関する規格であるため、取得件数は製造業で多く、とくに金属や加工金属製品、電気・光学機器、ゴム製品やプラスチック製品を製造する企業が上位を占めています。
製造業に次いでISO 9001の取得が盛んなのは建設業です。建設業でISO 9001を積極的に導入されているのは、国土交通省が2000年にISO 9001の取得を公共事業の入札必須条件とする試行を始めたことが要因とされています。
しかしその後、条件が緩和されたため、建設業の取得件数は減少傾向にあります。
>ISO9001の構成事項
ISO9001には構成事項があり、126項目に分けて制定されています。要求事項ともいわれており、認証取得に関して大変重要です。これらは企業が守るべき要件ともされており、認定取得の際にひとつでも欠けていれば不適合となってしまいます。
ISO9001の構成事項は、高い品質やサービスを提供することを目的とするだけでなく、審査終了後の品質保証を実現するために設けられた品質マネジメントシステムの規格です。なお、要求事項は適用範囲や引用規格、さらにリーダーシップやパフォーマンス評価など、10の章で構成されています。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
適用範囲
適用範囲とは、品質マネジメントシステムが自社のどの部門で効果的に機能するかを明確に定めることを意味します。適用範囲を明確にすることで、問題が発生した際にどの部門がどの部分を改善すべきかを迅速に判断できるようになります。
適用範囲は、組織全体の状況やニーズ、期待、自社の製品やサービスを十分に把握した上で決定しなければなりません。自社だけでなく、組織外のニーズも考慮し、なぜこの範囲に設定したのかという明確な根拠を示すことが求められます。
また、決定した適用範囲は文書で明確に記載する必要があり、社内で共有できることも重要です。
引用規格
引用規格は、ISO 9001の要求事項を満たすために参照すべき関連規格や標準を指します。ISO 9001には特定の業界や分野に関する詳細な規定が含まれていないため、必要に応じてほかの規格や基準を引用し、それらを遵守することが求められます。
引用規格には書式の規定はとくにありませんが、わかりやすくまとめることが重要です。また、引用規格にはISO 9001を利用または引用する規格であることを明記する必要があります。
ただし、ISO 9001自体が今後改定される可能性があるため、引用規格は記載して終わりではなく、常にISOに関する最新の動向を確認し、必要に応じて修正や変更を行う必要があります。
実際に、2008年には引用規格が変更されました。担当者は、WEBサイトなどで変更点の有無を定期的に確認することが求められます。
用語及び定義
用語定義とは、社内用語を使用して誤解や誤認が生じないように、明確に定めることを意味します。ISO9001では、用語および定義を指定する必要があり、とくに業界によっては、特殊な用語が多いため、しっかりとした定義が求められます。
なお、ISO9001の用語および定義は、ISO9000にも共通するものとされています。社内だけでなく、第三者機関にも理解できるように、用語定義を明確にしておくことが非常に重要です。
組織の状況
ISO9001では、組織の状況を理解することが要求事項となっており、内部の状況だけでなく、外部の状況や問題も把握し、その範囲を決定する必要があります。
そのため、組織の状況を理解する際には、利害関係者のニーズを把握し、マネジメントシステムの適用範囲やプロセスを決定することも求められます。組織内の状況に加え、利害関係のある外部の組織も考慮し、それらのニーズを明確にしたうえで、範囲や実施体制を決定することが重要です。
リーダーシップ
リーダーシップに関する事項では、方針やコミットメント、組織内での役割、責任および権限を明確に決定する必要があります。リーダーシップでは、トップマネジメントが担当する事項を決定し、果たすべき役割(=コミットメント)についても記載しなければなりません。
また、トップマネジメントは、組織の目的に沿った方針を確立する必要もあります。リーダーとしての担当者の役割や管理方法を明確にし、具体的な方針や目標を説明できるようにすることが求められます。
なお、過去にはリーダーである担当者が管理責任者と共同で責任を負うとされていましたが、2015年版では管理責任者に関する規定が削除されました。これにより、管理責任者は不要となり、担当者が担う責任がより大きくなったといえます。
計画
計画に関する要求事項では、リスクへの対応や目標達成のための計画策定が求められます。そのため、リスクが発生した場合の改善策や、変更があった際の対応方法を明確にしなければなりません。
計画の項目では、これらの対応策を実行するための活動計画を立てることが求められます。この計画は、品質マネジメントシステムの効果を維持するために重要であり、リスクや変更に対する明確な対応を通じて、円滑で持続可能な運用を実現する必要があります
支援
要求事項の「支援」では、資源、力量、認識、コミュニケーション、文書化した情報の5つの要素に分けて、取り組みの内容が示されており、人材や環境、技術など、品質マネジメントシステムを支える要素について、その状況を文章で明確に記載することが求められます。
また、効果的な運用を実現するためには、従業員一人ひとりの努力だけでなく、外部提供者からの資源の運用管理についても記載する必要があります。企業内外の資源や力量を的確に把握し、それらを適切に管理する方法を文章化することが重要です。
運用
ISO9001の要求事項における「運用」では、構築した品質マネジメントシステムの運用管理に必要な項目が示されており、製品やサービスを提供するために必要な運用について、具体的に記載することが求められます。
この点で重要なのは、運用が前述の計画に基づいていることです。計画はもちろん、運用時に関するさまざまなプロセスやその管理、さらに問題発生時の改善措置などについても、すべて記録しておく必要があります。
パフォーマンス評価
計画、支援、運用を経た品質マネジメントシステムが適切に機能しているか、またどれだけの成果を生んでいるかを評価するのがパフォーマンス評価です。品質マネジメントシステムが計画通りに運用されているかどうかを確認するだけでなく、顧客満足度の分析も行います。
このパフォーマンス評価には、内部監査やマネジメントレビューを実施しなければなりません。経営者、管理者、現場の担当者がそれぞれの役割を果たすことで、評価がスムーズに進み、結果を文書としてまとめることが可能となります。
改善
運営や評価を通じて、品質マネジメントシステムの改善を目指します。社内監査やマネジメントレビューに加え、社外の評価にも目を向け、必要に応じて改善策を講じることが重要です。
また、ISO9001認証を維持するためには、不適合項目が発生しないよう、継続的な審査と改善を行う必要があります。改善点が見当たらない場合でも、良好な状態を維持するための取り組みは欠かせません。
ISO9001の認証取得を目指すには、計画・運用・評価・改善を繰り返すPDCAサイクルを実行し、さまざまな活動を継続的に行うことが重要です。
ISO9001認証取得の流れ
ISO9001の認証取得には、社内での品質マネジメントシステムの構築に加え、運用、改善、審査の各段階が求められます。そのため、取得に向けて社内体制を整備しておくことが重要です。また、認証を受けた後も、ISO9001の維持審査や更新審査を定期的に受ける必要があります。
ここでは、ISO9001の認証取得の流れについてご説明します。それぞれのプロセスにおける目的や取り組みを理解し、並行して書類作成などを進めることで、スムーズな認証取得を実現しましょう。
取得に向け社内体制を整える
ISO9001の認証取得に向けては、まず取得の目的を明確にすることが重要です。なぜ取得を目指すのか、どの点を改善したいのかを事前に明確にしておくことが成功の鍵となります。
次に、ISO9001の構成に基づいて、適用範囲を決定します。どの製品やサービスを適用範囲に含めるかを定め、その際、どの部署や部門が関与するかを洗い出します。その後、担当者や各部門の責任者を決め、社内でプロジェクトチームを編成します。
ISO9001認証の取得に関して、社内全体にアナウンスを行い、プロジェクトをスタートさせます。社内の現状を分析し、要求事項と照らし合わせてギャップを明確にし、必要な改善策を検討・実施しましょう。
マネジメントシステムの設計
ISO9001が求める品質を達成するために、品質マネジメントシステムを構築する必要があります。品質マネジメントシステムを構築する際には、品質マニュアルや手順書、対応マニュアルなどを作成し、業務フローや記録帳票を整備して文章化を行いましょう。
この際、ISO9001の要求事項への理解を深めることはもちろん、業務内容をしっかりと精査することが重要となります。また、既存の業務がISO9001の要求事項に合致しているかを確認することも大切です。
すでに行っている業務をISOの要求事項に当てはめられれば、ISO9001認証取得のために新たに作成する業務や記録の量を減らし、効率的に進められるでしょう。
運用
設計・構築した品質マネジメントシステムを実際に試験運用します。社内説明会を実施し、品質マニュアルや業務フローについて説明しましょう。運用段階では、手順書に従い業務を進めるとともに、記録を適切に残すことが求められます。
さらに、手順書通りに実施されているかどうかを確認するため、内部監査を実施し、確実にチェックしなければなりません。内部監査の計画書を作成し、監査結果を報告書としてまとめます。また、トップマネジメントによる見直しも行うことが重要です。
問題が発生した場合は、速やかに改善策を講じ、改善後はその体制や手順を維持できるよう整備することが必要です。これらの運用・管理・改善に関する事項は、すべて文書化して記録に残しておくことが求められます。
審査
社内での品質マネジメントシステムの構築・運用を終えた後、審査を受けます。審査は主に書類審査を行う一次審査と、現地審査を行う二次審査の2段階で実施されることを理解しておくことが重要です。
一次審査では、主に提出した書類をもとに、品質マネジメントシステムが要求事項を満たしているかどうかが評価されます。一次審査を通過すると、次に二次審査が行われ、実際にシステムが運用されているかどうかが現場で確認されるのです。
審査は、審査期間中のルールに基づき適切に実施され、その結果、ISO9001認定にふさわしいかどうかが判断されます。もし適正と認められれば、合格通知が発行され、登録証が交付されます。
取得後も定期的に審査を受ける
ISO9001の認定取得後には、定期的な審査として「サーベイランス審査」および「更新審査」が実施されています。サーベイランス審査は、品質マネジメントシステムが引き続き適切に運用されているかを継続的に確認することが目的です。
サーベイランス審査は通常、年に1〜2回行われ、品質マネジメントシステムの有効性が評価されるほか、前回の審査で指摘された改善点が適切に改善されているかも確認されます。
また、ISOではマネジメントシステムに有効期限を設けており、3年に一度のタイミングで更新審査が実施されます。更新審査では、過去3年間の品質マネジメントシステムの運用状況が審査されるため、通常よりも長時間をかけて評価されることが特徴です。
>ISO9001認証取得にかかる期間と費用
前述の通り、ISO9001の認証取得には、社内でのキックオフから品質マネジメントシステムの構築、運用、審査に至るまで、長期間と費用がかかります。認証を早急に取得したいという理由で急ぐべきではなく、まずは社内で十分に運用を行い、審査期間を迎えることが重要です。
ここでは、ISO9001の認証取得にかかる期間と費用についてご説明します。ISO9001の取得にかかる時間は、企業の規模や自社での実施か外部コンサルタントを利用するかなどによって異なるため、その点に留意することが大切です。
期間
たとえば、従業員50名程度の企業がISO9001の認定取得に取り組む場合、認証取得までに6か月から数年かかることがあります。これは、ISO9001の品質マネジメントシステム構築に2か月から8か月程度を要し、その後の運用時の審査や修正作業が必要となるためです。
運用が順調に進む場合もありますが、課題や問題点が発生することも多く、運用後の問題修正期間は1か月から数年にわたることが一般的です。また、品質マネジメントシステムの構築や運用の期間は、関わる人材の経験やノウハウに大きく影響されます。
品質マネジメントシステムに精通した人材がいる場合は、スムーズに進行できますが、経験不足の場合は長期間を要する可能性もあるでしょう。
そのため、迅速に認証取得を目指したい場合や、専門的な知識を持つ人材に任せたい場合には、コンサルティング会社に依頼する方法も有効です。最近では、自社で取得するよりもコンサルティング会社に依頼する企業が増えており、コンサルタントを利用することで、認証取得までの期間を短縮できます。
費用
ISO9001の認証取得には、審査費用のほかに人件費や設備投資が必要です。また、コンサルティングサービスを利用する場合は、その依頼料も発生します。さらに、現地審査時には審査員の交通費や宿泊費がかかるため、これらの費用についても予算に組み込んでおくことが重要です。
審査費用は企業規模や業種によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。従業員数が2〜20名の場合、審査費用は30万円台、21〜50名では40万円〜55万円、51〜100名では65万円〜75万円、101名以上では75万円〜105万円ほどです。
ISO9001の審査機関は国内に約50社存在しており、費用は機関によって異なります。そのため、複数の審査機関から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。
ISO9001認証取得のメリット・デメリット
ISO9001の認証取得は、社内外にさまざまな影響を与えます。取得することで、国際基準に基づいた品質管理を実施している証明となり、顧客からの信頼を得られます。また、品質意識が向上し、従業員のモチベーション向上にもつながります。
しかし、ISO9001の認証取得にはコストや時間、人的リソースの投入が必要であり、従業員への負担が増えることも考慮しなければなりません。これらのデメリットを十分に理解し、適切に対策を講じることが重要です。
ISO9001認証取得のメリット
ISO9001は、国際的な品質マネジメントシステムを構築・運用していることを証明するものであり、新規顧客の獲得に大きなアピールポイントとなります。また、既存の取引先との信頼関係を強化できる要素です。
さらに、ISO9001の認証取得は社外への強力なアピールだけでなく、社内にも良い影響をもたらし、従業員のモチベーション向上や社内業務の効率化にも貢献し、企業全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。
公共事業の入札の加点対象や参加条件を満たせる
前述のように、ISO9001は商品やサービスを提供する際の品質マネジメントシステムが確実に管理されていることを証明するものです。とくに、国土交通省はISO9001の認定取得を入札時の加点対象としており、これを取得することで入札の参加条件を満たす有効な手段となります。
もちろん、ISO9001は建設業に限らず、ほかの業界でも取引先の獲得につながります。ISO9001を取得している企業は、信頼性が高いと見なされ、取引先から安心して任せられる企業と判断されるためです。その結果、顧客からの信頼を得られ、新たなビジネスチャンスを生み出すことが可能となります。
取引先や顧客の信頼を得られる
ISO9001の認定取得は、現在契約している顧客や取引先からの信頼を高める重要な要素となります。
ISO9001を取得している企業は、その品質マネジメントシステムが適切に運用されていることが証明されるため、余計な審査を行うことなく業務を請け負え、書類提出だけでスムーズに進行できる可能性が高まるのです。
ISO9001の認証を取得していることで、取引先はその企業が安定した品質基準を守り、信頼性の高い業務運営を行っていると認識します。これにより、顧客からの信頼を得るだけでなく、競合他社と差別化を図ることも可能です。
また、ISO9001の認定は企業の社会的信用を向上させるため、さらに新規顧客の獲得や取引の拡大にもつながり、最終的には売上の増加に貢献することが期待されます。
社内ルールを明確化し、改善できる
ISO9001の認定取得には、品質マネジメントシステムを社内でしっかりと構築し、運用していく必要があります。そのためには、業務プロセスを整理し、手順や作業内容をマニュアル化することが不可欠です。
マニュアルは、日常の業務において基準を明確にし、従業員全員が共通の理解を持つための重要なツールとなります。また、業務を進めるなかで問題が発生した場合には、その原因を突き止め、マニュアルやプロセスを見直すことが重要です。
ISO9001を導入することで、各部署が一丸となって取り組むことになり、社内のルールが明確化され、業務の効率化や生産性の向上にもつながります。
さらに、ISO9001には定期的な審査や見直しが義務付けられており、これにより品質マネジメントシステムを継続的に改善し、長期的な運用体制を築くことが可能です。こうした取り組みは、企業の持続的成長を支える基盤となり、品質向上を促進します。
従業員の意識向上
ISO9001の認定取得は、社外からの信頼を向上させるだけでなく、社内の従業員の意識向上にも大きな効果をもたらします。
品質マネジメントシステムの構築と運用を通じて、従業員ひとりひとりの役割が明確になり、自分の仕事がどのように組織全体に貢献しているのかが理解できるようになります。このように、業務の意義を認識できることで、従業員のモチベーションが向上し、仕事に対するやりがいを感じられるのです。
また、ISO9001を導入することで、業務プロセスや品質基準が標準化され、全員が同じ方向を向いて仕事を進められます。このプロセスの中で、従業員は自分の業務が全体の品質向上にどのように寄与しているのかを理解し、自己成長を実感できるため、意識向上にも繋がります。
ISO9001の認定取得に伴うこれらの取り組みは、従業員の意識改革を促し、企業全体のパフォーマンス向上にも寄与するでしょう。
こちらの記事では、ISO27001(ISMS 認証)について解説しています。取得までの流れやメリットなども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
ISO9001認証取得のデメリット
ISO9001認証の取得は、社外からの信頼向上や新たなビジネスチャンスの獲得など、多くのメリットがあります。
しかし、認証を取得するためには品質マネジメントシステムの構築や運用が求められ、その過程でマニュアルや書類の作成に関する業務が増えることもデメリットとして挙げられます。
さらに、認証を取得した後も、維持には定期的な審査や改善活動が必要となり、そのためのコストも発生します。ISO9001認証取得を目指す際には、このようなデメリットについてもしっかりと理解し、計画的に進めることが重要です。
従業員に負担がかかる
ISO9001の認証を取得するためには、品質マネジメントシステムの構築から運用、さらに改善活動を進める必要があり、この過程で、ISO9001の要求事項を満たすためのさまざまな取り組みが求められ、従業員にとって一定の負担となることがあります。
具体的には、従業員向けのマニュアル作成や申請用の書類作成などです。さらに、各業務やプロセスを明確に文書化する必要があり、記録すべき項目も多いため、従業員にはかなりの負担がかかることが予想されます。
これらの作業は時間と労力を要するため、十分な計画と管理を行い、効率的に進めることが重要です。
取得と維持にコストが掛かる
ISO9001の認証取得には、従業員への負担がかかるだけでなく、コスト面でも大きなデメリットがあります。新規取得時に加えて、その後の維持にも継続的なコストが発生することを十分に理解しておくことが必要です。
このような状況下では、業務の効率化が重要な課題となります。
まとめ
ISO9001は、品質マネジメントシステムの国際標準規格であり、企業が提供する製品やサービスの品質を一貫して管理・改善するためのフレームワークです。認証を取得することで、顧客への信頼向上や業務の効率化を実現できます。企業は定期的な審査を通じて、品質管理の維持と改善を行うことが必要です。
ISO9001の認証取得には、自社で品質マネジメントシステムを構築し、それを運用・改善する必要があります。このプロセスには多くの時間と労力がかかり、申請時にはその内容を記載した書類の提出も求められるため、従業員の業務に対する負担が増えることが懸念されています。
とくに、新たなシステムの導入や改善活動を行いながら、ISO9001の要求事項に適合するためには、全社員の協力と調整が必要です。
一方で、ISO9001の認証取得は、顧客様からの信頼向上やビジネスチャンスの拡大をもたらすだけでなく、社内の業務改善にも大いに寄与します。品質管理の体制を強化することで、業務の効率化や生産性向上が期待でき、従業員の意識も向上します。
認証取得後には、企業の社会的信頼が高まるとともに、取引先や顧客との信頼関係がより強固なものとなるでしょう。
また、ISO9001を取得している多くの企業は製品のパンフレットや自社のホームページ・社員の名刺にISO9001認証マークを掲載して対外的にしっかりアピールしています。
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