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ISO27001(ISMS 認証)とは?取得までの流れやメリットなどを解説

ISO27001(ISMS認証)は、企業が適切な情報セキュリティ管理を実施していることを証明する国際規格として注目されており、情報セキュリティの重要性が増すなか、認証取得に向けて取り組む企業が増えています。

本記事では、ISO27001やISMS認証の概要から、取得までの流れ、導入によるメリット・デメリットについて詳しく解説します。サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを低減し、取引先や顧客からの信頼を高めるために、ISO27001の取得を検討してみましょう。

ISO27001(ISMS 認証)とは?

情報セキュリティに関連して、ISO27001とISMS認証はよく耳にする言葉です。まずは、それぞれの具体的な内容について解説します。

ISO27001とは

ISO27001とは、情報管理の強化を目的とし、システム運用の方法を定めた国際規格です。

現在、多くの企業がパソコンやサーバーを使用して個人情報や機密情報を管理しています。しかし、情報漏洩やサイバー攻撃の脅威は年々増加しており、情報資産の管理の重要性がさらに高まっているのです。

ISO27001では、機密性・完全性・可用性の3つの要素が求められ、これらをバランスよく管理することで、情報を効果的に活用できる枠組みが示されています。

ISMS 認証とは

ISMS認証は、情報セキュリティマネジメントシステムの略で、企業の重要な情報を守るための規則・仕組みを指します。

たとえば、企業には顧客の個人情報や機密データなど、外部に漏れてはならない重要な情報が存在します。しかし、これらを適切に管理しないと、情報漏洩や不正アクセスのリスクが増大します。

そのため、企業全体で情報をどのように守るかを定め、実行し、定期的に見直す管理システムを構築することが必要です。ISMSを導入することで、情報が安全に管理されていることの証明となり、取引先からの信頼が高まります。

ISO27001(ISMS 認証)を取得している企業数

2024年12月時点で、ISO27001(ISMS認証)を取得している企業は8,000件を超えています。

ISO27001(ISMS認証)は、IT産業、コンサルティング業、金融業、製造業などを中心に年々増加しており、とくに顧客情報を扱う業界では、信頼性の向上や競合他社との差別化を目的として、国内外問わず取得する企業が増加しています。

取得企業の増加背景には、IT産業の普及にともなうサイバー攻撃や情報漏洩のリスク増加が挙げられます。多くの個人情報を扱う企業にとっては、対策が必須と言えるでしょう。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、データ管理が複雑化していることも要因のひとつです。このように、安全性や信頼性の向上、さらには競合他社との差別化を目指して、多くの企業がISO27001(ISMS認証)の取得を進めています。

ISO27001(ISMS 認証)を取得するまでの流れ

ISO27001(ISMS認証)の取得には、さまざまな準備が必要です。以下では、取得するまでの流れについて解説します。

取得範囲を決める

ISO27001(ISMS認証)は、企業全体だけでなく、一部の部署のみでの取得も可能です。まずは、取得する範囲を決定しましょう。

範囲によって、取得にかかる期間や労力が異なるため、取り扱う情報資産の内容を考慮しながら、適切な範囲を設定することが重要です。

情報セキュリティの方針を固める

情報セキュリティの方針は、企業がリスクを特定し、適切な管理策を導入するための指針となります。取得範囲を決定した後は、業種や取り扱う情報に基づき、具体的な取り組みや原則を含めた情報セキュリティ方針を定めましょう。

方針を決定する際は、ISO27001の要件を満たす内容であることが重要です。また、組織の目的に合致し、情報セキュリティの目的を達成するための枠組みとして機能する内容である必要があります。

認証機関を選択する

情報セキュリティの方針が決まったら、次に認証機関を選定します。認証機関は約30社あり、それぞれの機関で費用が異なるため、複数の機関から事前に見積もりを取得することをおすすめします。

社内体制を整える

認証機関を選定した後は、情報セキュリティ活動を統括する管理者や内部監査員を決定し、社内体制を整えます。事前に担当を割り振っておくことで、スムーズに進行することが可能です。

文書を作成する

ISO27001(ISMS認証)を取得するためには、システムの文書化が必要です。ルールやマニュアルなどの文書を作成し、具体的な対応策を盛り込みます。作成したマニュアルは、社内教育にも活用できるため、実際の業務に即した内容を反映させることが重要です。

リスクアセスメントを実施する

文書を作成したら、次にリスクアセスメントを実施します。リスクアセスメントとは、リスクを特定し、その影響の大きさに基づいて優先順位を決め、リスクの除去または低減策を検討、その結果を記録するプロセスです。

具体的には、社内の情報資産台帳の作成、リスク分析、対応計画の策定などを行います。

内部監査を行う

リスクアセスメントを実施した後は、内部監査を行いましょう。内部監査では、客観的な視点が求められるため、別部署の担当者が監査を担当することが一般的です。

具体的には、管理規程が正しく運用されているか、マニュアルに従った作業が行われているかを確認します。課題が見つかった場合は、速やかに改善措置を講じましょう。

マネジメントレビューを実施する

内部監査を実施した後は、マネジメントレビューを行いましょう。これは審査前の最終確認の機会であり、経営者の視点からさらに改善できる点がないかを確認します。内部監査と同様に、課題が見つかれば迅速に改善策を講じることが重要です。

審査を受ける

いよいよ審査を受ける段階です。審査は、文書審査を中心とした第一段階審査と、現地での実施確認を行う第二段階審査の2段階に分かれています。

第一段階の文書審査では、社内文書がISO27001の要求事項に適合しているかを確認します。第二段階の現地審査では、実際にルール通りに運用されているか、情報セキュリティ上のリスクがないかなど、運用面を詳しく審査します。

審査結果を確認する

文書審査と運用審査を通過すれば、認証を受けられます。認証の発行は、第二段階審査から約1か月後に行われます。

もし審査後に不備が見つかった場合は、社内で是正処置を実施し、その結果を審査機関に報告する必要があります。是正処置が完了すれば、無事に認証を取得できます。

認証機関から認証が発行されると、情報マネジメント認定センターに報告が行われ、認証取得の結果が公開されます。

PDCAサイクルを回す

ISO27001(ISMS認証)の有効期間は3年間で、毎年定期審査が実施されます。そのため、認証を取得して終了ではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善を行い、セキュリティ強化に取り組む必要があります。

ISO27001(ISMS 認証)を取得するメリット

以下では、ISO27001(ISMS認証)を取得することで得られる具体的なメリットについて解説します。

社外へ信頼性や安心感をアピールできる

ISO27001(ISMS認証)取得することで、第三者機関による客観的な評価を受け、国際基準を満たしている企業であることを証明されます。このため、信頼性や安心感を対外的にアピールすることが可能です。

サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩の脅威が巧妙化するなかで、多くの企業が情報セキュリティ対策を急いでいます。そのような状況において、情報セキュリティ管理の信頼性をアピールできることは、長期的な取引の維持や新規顧客の獲得において大きなメリットとなります。また、ライバル企業との差別化にも有効であり、競争力を高める要素です。

このように、ISO27001(ISMS認証)は、第三者からの信頼を得るだけでなく、国際基準を満たしていることを証明することで、企業の信頼性や安心感をアピールでき、競争優位性を築くための大きなメリットとなります。

セキュリティに対する意識が高まる

ISO27001(ISMS認証)は、サイバー攻撃など外部からの脅威だけでなく、社内からの情報漏洩や個人情報の紛失にも対応しています。これにより、包括的な情報セキュリティ対策を実施でき、全社的なセキュリティ意識の向上が期待できます。

ISO27001(ISMS認証)を取得するためには、従業員への研修や教育が必要です。このプロセスを通じて、社員全員の情報セキュリティに対する意識が高まり、セキュリティリスクの軽減にもつながります。

このように、ISO27001(ISMS認証)を取得することで、サイバー攻撃や外部の脅威に対応するだけでなく、社員教育を通じて全体のセキュリティ意識が向上する点は、企業にとって大きなメリットです。

入札の取引要件に対応できる

ISO27001(ISMS認証)を取得することで、入札の取引要件に対応できます。

行政や自治体との取引では、入札の条件にISO27001(ISMS認証)の取得が求められる場合があります。そのため、認証を取得しておくことで、入札に参加できる案件の幅が広がり、市場での競争力や事業の拡大、さらには売上向上が期待できるのです。

このように、ISO27001(ISMS認証)を取得することで、入札要件に対応し、仕事の幅を広げるとともに、ライバル企業に対して優位に立ち、事業の拡大が可能になる点が大きな魅力です。

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ISO27001(ISMS 認証)を取得するデメリット

ISO27001(ISMS認証)の取得には、信頼性や安心感、セキュリティ意識の向上など多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。

これらのデメリットも踏まえて、導入を検討することが重要です。詳しく解説しますので、参考にしてください。

費用が発生する

ISO27001(ISMS認証)の取得にはさまざまな費用がかかるため、これはデメリットのひとつといえます。

具体的には、審査費用やコンサルティング費用、人件費などが含まれます。認証取得には一定の費用が発生するため、経営に過度な負担をかけることなく、メリットとのバランスを取ることが重要です。そのため、上記のメリットを考慮し、費用対効果を慎重に見極めましょう。

手間がかかる

認証取得に向けて、多くの手間がかかる点もデメリットのひとつです。ISO27001(ISMS認証)を取得するためには、書類やマニュアルの作成、社内体制の構築、社員への教育など、多くの作業が発生します。また、これらの作業を進めるためには担当者の選任も必要です。

通常の業務に加えて、これらの作業も進める必要があるため、作業量の増加は避けられません。さらに、慣れない作業が多いため、多くの時間を費やす可能性もあります。認証取得に向けて書類作成やマニュアル整備、社員教育などの手間が発生するため、これらについてあらかじめ理解しておくことが重要です。

ISO27001(ISMS 認証)取得に発生する費用

ISO27001(ISMS認証)を取得するためには、審査費用、コンサルティング費用、人件費など、さまざまな費用が発生します。これらの費用について事前に理解しておくことで、認証取得に向けてスムーズに作業を進められるでしょう。

審査費用

ISO27001(ISMS認証)の取得において、まず考慮すべき費用のひとつが審査費用です。

初回の審査に加え、認証後も適切な運用が行われているかを確認するための定期審査が必要となり、継続的に費用が発生します。また、審査費用には、審査員の交通費や宿泊費が含まれる場合もあります。具体的な金額は審査機関によって異なるため、慎重に選定することが重要です。

さらに、審査に向けてシステムの改修や新しいツールの導入が必要になる場合、追加の費用が発生することもあります。費用対効果を十分に見極めて検討しましょう。

このように、ISO27001(ISMS認証)を取得するには、審査費用のほかにも審査員の交通費や宿泊費、システム改修費やツール導入費など、さまざまな費用が発生することを理解しておくことが重要です。

コンサルティング費用

ISO27001(ISMS認証)の取得に向けて、自社だけで対応するのが難しい場合、コンサルティング会社に依頼するのが一般的です。

しかし、その場合コンサルティング費用が発生します。コンサルティング費用は、認証の範囲や提供される支援の内容によって異なるため、依頼する前に費用の詳細を確認しておくことが重要です。

認証取得に向けた準備は、書類作成やマニュアルの整備など多岐にわたり、これらを自社で進める場合、相当な時間と手間がかかる可能性があります。そのため、確実に認証を取得したい場合は、専門的な知識を持つコンサルティング会社に依頼することで、スムーズに進められます。

しかし、その際にはコンサルティング費用がかかる点をあらかじめ理解しておきましょう。

人件費

ISO27001(ISMS認証)を取得する際には、人件費も重要な費用項目のひとつです。ここでいう人件費とは、認証取得に向けて作業を行う社員に支払う賃金のことを指します。

通常の業務を行った場合と認証取得に向けた作業を行った場合、支払う賃金そのものに変動はありません。しかし、認証取得に向けた作業を進めることで、社員は本来の業務に集中できなくなり、その結果、業務効率や生産性の低下が生じます。

一見すると、支払う賃金に変化はないように思えますが、実際には本来の業務が進まないことによって、見えない損失が発生するのです。また、認証取得の準備にあたって、現状分析や文書整備など、時間を要する作業も多くあります。

そのため、通常業務に加えてこれらの作業を進める場合、時間外労働が発生し、その分の賃金を支払う必要が生じるでしょう。

こちらの記事では、ISO9001について解説しています。取得にかかる期間・費用やメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

ISO9001とは?取得にかかる期間・費用やメリットを解説

ISO9001とは?取得にかかる期間・費用やメリットを解説

こちらの記事では、ISO9001について解説しています。取得にかかる期間・費用やメリットを解説します。

まとめ

ISO27001(ISMS認証)とは、情報システムの運用方法を定めた国際規格であり、企業の重要な情報を守るためのルールや仕組みを指します。

ISO27001(ISMS認証)を取得すると、国際規格の要件を満たしていることが証明され、信頼性や安心感をアピールでき、競合企業との差別化や長期的な取引の確立、新規顧客の獲得が期待できるでしょう。

個人情報を多く取り扱う企業にとって、サイバー攻撃や情報漏洩といった脅威は年々増加しており、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。しかし、認証を取得するためには現状分析や文書整備など多くの作業が必要であり、自社だけで対応することは困難です。

プリントバーンは、法人向けの名刺発注システムの開発・提供を行っており、名刺発注にとどまらず、データや個人情報の安全管理もサポートしています。無駄な作業時間やコスト削減、セキュリティ対策にも貢献できますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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