
人脈やビジネスのチャンスを広げるためには、名刺交換は重要です。また、円滑なコミュニケーションを取るために、名刺のレイアウトも十分に考慮しなくてはならないでしょう。
若くして起業した方や、所属している企業で役職を兼務している方は、複数の肩書きを持っているケースがあります。そうしたとき、どんなデザインやレイアウトの名刺にすればよいか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、名刺に肩書きを記載する目的や、複数の肩書きを持っている方のレイアウトについてお伝えします。また、名刺に肩書きを記載する場合の注意点についても紹介しますので、複数の肩書きで名刺作成しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
名刺に肩書きを記載する3つの目的
ビジネスをするうえで必要不可欠な名刺交換ですが、肩書きを記載する理由が3つあります。ここでは、名刺に肩書きを掲載する重要性についてお伝えします。
信頼度を高める目的
肩書きを記載する目的としては、まず取引先からの信頼度を高めるためです。所属している企業において、役割と権限を持っていると取引先に認識してもらうことで、信用度が上がるでしょう。
日本企業では契約の締結やトラブル時の謝罪、節目の挨拶など、さまざまな場面に所属企業の肩書きを持つ人物が同行することで、会社としての誠意を見せる意味があります。そのため、名刺には肩書きを記載しておく必要があるのです。
円滑なコミュニケーションを図る目的
なかには、名刺交換は自己紹介や挨拶の場だと考えている方もいるかもしれません。しかし、名刺交換は単なる自己紹介をする場ではなく、初対面の人とコミュニケーションがとれるチャンスになります。
そのため、名刺交換時にはうまく話を広げることで、円滑なコミュニケーションを図ることにつながります。たとえば「どのような方なのか、お会いできるのを楽しみにしていました」と笑顔で伝えれば、それだけで相手との距離を縮めることが可能です。
ほかにも名刺のデザインを褒めるなど、相手や会社に対して興味を示すことができれば、その後の取引もスムーズにいくでしょう。
とくに肩書きがある場合、上記のような言葉をお伝えすれば「一定の権限を持つ方から興味を持ってもらえている」となるだけでなく、相手からの反応も得やすくなります。
活用してもらう目的
名刺に肩書きを記載していると、名刺情報を活用してもらえます。組織の規模が大きくなれば、その分肩書きの種類は増えやすくなるでしょう。
肩書きが記載されていない名刺を渡しても、相手から見れば、組織での役割や位置関係がわからずに、その後の取引に影響を与える可能性もあります。
肩書きを記載しておくことで、受け取り手は、名刺を交換した相手の所属している部署、役職での分類が可能です。指揮系統も分析することができ、その後の契約プロセスもイメージできるでしょう。
受け取り手からすれば、誰にアプローチをしていけばよいのか、肩書きで判断が可能になるのです。
名刺に複数の肩書きを記載する場合のレイアウト
肩書きを名刺に記載する理由についてお伝えしてきました。しかし、なかには若い起業家などで複数の肩書きを持っており、どう記載すればよいか悩んでいる方もいるでしょう。
2つ以上の肩書きを持つ場合の記載の仕方について、主に3つの方法を詳しくお伝えします。
1つの名刺に肩書きをすべて記載する
まず思いつくのが、名刺に肩書きをすべて記載するレイアウトでしょう。複数持っている肩書きをすべて明記することで、所属会社における自身の立場や役割、持っている権限を明確に伝えられます。そのため、一般的には、肩書きはすべて記載するのが望ましいとされています。
ただ、あまりにも多くの肩書きを持っており、すべてを記載すると相手側が混乱してしまう可能性がある場合は「取締役 兼 営業本部長」といったように、極力わかりやすい記載を心がけましょう。
1つの名刺に肩書きを絞って記載する
2つ目の方法は、肩書きを1つか2つに絞り込んで記載することです。
あまりにも肩書きが多い名刺を渡してしまうと、名刺交換相手が混乱してしまう可能性があります。そのため、営業活動などで必要のない肩書きは省くことで、過不足なくスッキリとした名刺に仕上げることが可能です。
例でいえば「営業部長」「経理部部長」を兼務している場合であれば、営業先には経理部長であることは伝えなくてもよいでしょう。
複数の名刺にそれぞれの肩書きを記載する
最後は、肩書きごとに複数の名刺を用意して、取引先に応じて使い分けていく方法です。
この方法は、複数の名刺を用意するため、コストが多めにかかります。さらに、場面に応じて使い分けができるよう常備する必要があるので、管理が大変になるなどの手間が発生するでしょう。
一方で、必要に応じて異なる肩書きが記載された名刺を使い分けができれば、取引先により強い印象を与えるメリットがあります。
名刺に肩書きを記載する場合の注意点
名刺のレイアウトや記載する項目について、決まったルールはありません。しかし、肩書きを表記する場合は、法律で記載が限られているものも存在します。
ここでは、法律上使用できない肩書きと、自由に使ってよい肩書きについてお伝えします。
法律上使用できない肩書き
法律上使用に制限がかかる肩書きとしては、いくつかケースがあります。たとえば、有限会社のケースであれば取締役が2名以上いる場合は「代表取締役」となり、1名であれば「取締役」がルールになります。
また、取締役が複数おり、代表権を持っている場合は「代表取締役」は使えませんし、フリーランスの方が「取締役」といった肩書きは使えません。このように法律上使用できない肩書きがあることを覚えておきましょう。
自由に使用できる肩書き
逆に、自由に使用できる肩書きも存在します。代表取締役と同じ意味で使われる「社長」は、自由に使うことができる呼称になります。なお、社長は、屋号を持っている個人事業主も使うことが可能です。
このほかに、名刺に自由に記載できる肩書きには「代表」や「執行役員」といったものから「相談役」などがあります。なお、こちらの肩書きは、フリーランスの方でも使うことができます。
フリーランスは、法人よりも信用面で見劣ってしまいます。そのため、フリーランスの方こそ名刺の肩書きにこだわらないといけません。
「社長」や「代表」といった一目でわかるのもよいですが、自分自身のスキル・知識を売り物とすることが多いため、一目でわかる職種名を肩書きにするなどの工夫を検討するのもひとつの手段です。
まとめ
名刺に肩書きを記載する理由や、おすすめのレイアウトについてお伝えしました。複数の肩書きを持つ方は、1枚の名刺に記載するのもひとつの方法ですし、肩書きを絞ってスッキリとした名刺を作成するのもよいでしょう。
また、複数の名刺にそれぞれの肩書きを記載することで、取引先に応じて使い分けることができます。手間や名刺の制作費がかかり、管理が煩雑になるなどのそれなりに手間はかかってしまいますが、名刺交換をする相手に応じて適切な肩書きを認識してもらうことが可能です。
その結果、より強い印象を与えられ、今後の取引において有利に進む可能性も高くなるでしょう。
ただし、肩書きを名刺に記載する際は、法律で制限されており使えないパターンもあります。起業家したてであれば、そこまで意識する必要はありませんが、法人化して代表になった際などは、肩書きの記載に注意しなければなりません。
名刺交換はビジネスの基本であり、最初のコミュニケーションを取るチャンスの場になることを覚えておきましょう。