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Pマークを取得するメリットとは?取得費用や方法も紹介

近年、オンラインでのビジネスが急激に増加し、個人情報の取り扱いに対する企業の姿勢が問われるようになってきました。とくに教育・生活サービス業界では、顧客からの多くの個人情報を収集するため、個人情報の保護は必要不可欠です。

プライバシーマーク(以下「Pマーク」という)は、企業が個人情報保護に取り組んでいる証として、多くの企業が取得を検討しています。しかし、そのメリットや取得方法、費用に関して十分に知られていないのも事実です。

この記事ではPマークの取得メリットから、名刺への記載の重要性、取得に必要な期間や費用、方法まで詳しく解説します。

Pマークを取得するメリット

近年、デジタルトランスフォーメーションが急速に進むビジネスの場において、企業が取り扱う情報量は増加の一途を辿っています。

とくに、個人情報の取り扱いは、企業の社会的責任として重要視されており、Pマークは企業が個人情報を適切に管理していることを示す認証制度として知られています。

Pマークを取得する一番のメリットは、外部に対して、情報管理の取り組みをアピールができることでしょう。

また、Pマークを取得するプロセスでは、企業自体の情報管理体制の見直しや強化が進むなど内部の意識・管理の強化が必要になるため、組織作りや社内の意識改革にも効果的です。

企業の情報管理体制の強化だけでなく、多くのビジネスチャンスをもたらす可能性があるPマークの具体的なメリットを6つ紹介します。

消費者に信頼感を与えられる

Pマークは、企業が個人情報の取り扱いに関して一定の基準を満たしていることを第三者が示す認証です。通常であれば、どんなに「情報管理を徹底している」と消費者に対して伝えたとしても、それを証明するすべはありません。

しかし、第三者機関が証明するPマークを示すことで、消費者はその企業を信頼しやすくなるでしょう。

とくにオンラインショッピングやオンラインサービスなど、住所やクレジットカード情報が必要になるサービスを利用するときは、個人情報の取り扱いに関する不安を感じやすくなります。

そこで、Pマークが表示されていると、不安を軽減でき、消費者の購買意欲やサービス利用意欲を高めることが期待できます。

入札に参加できる範囲が広がる

多くの官公庁や大手企業は、少しでも情報漏洩のリスクを低減するために、取引先としてPマークを取得している企業を優先的に選ぶ傾向があります。そのため、Pマークを取得している企業は、入札の機会が増える可能性が高まると考えられるでしょう。

さらに、Pマークを取得している企業は、情報管理に関する研修や教育を徹底しているイメージが強くなるので、取引先との信頼関係の構築がスムーズに進むとともに、新しいビジネスチャンスを掴むための足がかりとなります。

また、情報管理を徹底していることは、取引先との契約内容や取引条件などの交渉でも有利に進めやすくなるでしょう。

個人情報保護法を遵守しやすくなる

Pマークの取得基準は「個人情報保護法」の要求事項を網羅しており、さらに詳細なガイドラインもあります。

そのため、企業はPマークを取得するために、確実に法律を遵守できるように環境を整える必要があります。法律を順守する仕組みを整える過程で、企業内の情報管理体制の見直しや強化が進み、法的なトラブルを防ぐことにも貢献するでしょう。

従業者の意識を向上させられる

Pマークを取得するには、システムや環境を整えるだけではなく、従業員向けの研修や教育も必要になります。

Pマークの取得に向けて知識を付けることで、従業員は個人情報の取り扱いに関する基礎知識を身につけられ、情報管理に対する意識やモチベーションが向上しやすくなると考えられます。

システムや仕組みでどんなに対策を講じても、従業員のモラルが低い状態では、トラブルを防ぐことはできません。

情報漏洩の発端は人為的なミスが要因となりやすいため、日常業務における情報管理の重要性を認識させることもトラブルの予防対策になるでしょう。

個人情報漏洩の防止につながる

Pマークの取得を目指すことは、企業の情報管理体制を徹底的に見直す契機にもなります。

Pマークを取得するプロセスでは、情報の取り扱い方法、保存場所、アクセス制限など、さまざまな側面からの審査があります。とくに、外部からの不正アクセスや、内部からの情報漏洩リスクを低減するためのセキュリティ対策を強化する必要があります。

また、従業員への研修や教育を通じて、情報管理の重要性が浸透し、日常業務に起こりうるミスを防ぐことが期待されることから、個人情報漏洩の防止に貢献するでしょう。

優秀な人材の確保につながる

Pマークは、企業が情報管理に真摯に取り組んでいる証として、多くの求職者にも認知されています。

とくにデジタルネイティブな世代は、もともと情報リテラシーが高いので、若手の優秀な人材は、自らの個人情報を適切に取り扱う企業を選ぶ傾向があります。

そのため、Pマークを取得している企業は、優秀な人材からの信頼を得やすく、採用活動にも大きなメリットを享受しやすくなるので、企業の競争力をさらに高められるとも考えられるでしょう。

Pマークは名刺にも記載可能

Pマークは、企業が個人情報の保護体制を適切に整えていることを示す第三者認証のマークです。最近では、多くの企業で信頼性を高める手段として、このPマークを名刺に掲載することを検討する企業が増えています。

Pマーク入りの名刺を使うメリットを具体的に3つ紹介します。

・ほかの会社やサービスとの差別化

Pマークを取得する企業が増えてきていますが、まだ取得している企業が少ないのが現状です。そのため、Pマークを名刺に記載すると、ほかの企業やサービスとの差別化を図れるので、情報管理に対する取り組みの証として、他社との競争力を高める要因となります。

・信頼と安全の提供

Pマークは、情報管理の基準を満たしていることの証明になります。そのため、名刺を交換する際、取引先や消費者に対して信頼と安全を提供できます。

・顧客やクライアントへの安心感の提供

名刺にPマークを記載すると、顧客やクライアントに安心感を与える効果があるので、ビジネスの信頼性やブランドイメージの向上に貢献するでしょう。

以上のメリットを考慮すると、Pマークを名刺に記載すれば、企業の信頼性やブランドイメージを高めるための有効な手段になると考えられます。

Pマークを取得する際の注意点

Pマークの取得は、企業の信頼性や情報管理体制の強化につながる一方で、その過程にはいくつかの注意点がともないます。

まず最も気をつけるべき点が、準備計画です。Pマークの取得には厳しい審査を受ける必要があるため、事前に十分な準備が必要です。とくに、情報管理に関する文書や記録の整備は欠かせません。

また、Pマークは継続的な情報管理の取り組みも意味するため、一度取得して終わりではなく、Pマークを維持するために定期的な監査や更新が必要になります。そのため、取得計画と合わせて、維持するための時間やコストも想定する必要があるでしょう。

さらにPマークを取るには、全従業員の理解と協力が不可欠です。通常の業務に加えて、研修や教育を受けたり指導したりする時間を作ることになるので、反対する従業員も存在するでしょう。

研修などを通じて、従業員一人ひとりが情報管理の重要性を深く理解する必要があります。

Pマークの取得に必要な期間や費用

Pマークの取得を検討するにあたって考えなければならない点が、取得にかかる期間と費用です。Pマークは、情報管理の基準を満たしていることを示す認証であるため、取得までのプロセスには緻密な審査がともないます。

審査には一定の期間が必要となり、審査費用やコンサルティング費用、そのほかの関連費用が発生するので、事前に把握しておきましょう。

期間

Pマークの取得にかかる期間は、企業規模や運用している情報セキュリティマネジメントシステムの規模、その内容によっても異なりますが、PDCAをまわしながら実施する必要があり、通常は約1年の期間が必要とされています。

主なスケジュールの目安としては、以下のようになります。

・導入〜1か月:個人情報保護マネジメントシステムの構築

・2か月〜5か月:計画の試験運用と教育

・6か月目:審査機関への申請

・7か月目:文書審査から現地審査

・10か月目以降:現地審査の指摘への改善対応と審査会

・12か月目:Pマークの認証を取得

ただし、今回紹介したスケジュールは一例であり、外部のサポートを受けずに自社で取得する場合や、担当者の規格への理解度、現地審査の指摘内容などによって変動する場合があります。

すでに個人情報取り扱いに関してのシステムが構築されており、運用実績もある場合、外部のコンサルなどを活用すれば、最短で6か月程度で取得できるケースもあります。最短での取得を目指す場合は、自社での取り組みのスピードが鍵となるでしょう。

費用

Pマークの取得に関連する費用は、大きく分けて「審査費用」「コンサル費用」そして「その他の費用」に分類されます。それぞれ具体的に確認していきましょう。

審査費用

審査費用は、Pマークを取得するための主要な費用のひとつです。

この費用は、審査機関が行う文書審査や実地審査にかかる費用のことで、企業の規模や業種、取り扱う情報の量によって変動します。

たとえば小規模事業者であれば、税込みで314,288円、中規模事業社であれば、628,573円の費用がかかります。

また更新審査を受けるときにも別途費用は必要になるため、スケジューリングのうえ、予算を計上する必要があるでしょう。

コンサル費用

Pマークは審査基準やガイドラインが細かく設定されているため、取得するにあたってコンサルタントに依頼する場合もあるでしょう。

コンサルタントに依頼する場合は、その費用も考慮する必要があります。コンサルタントは、Pマーク取得に向けたアドバイスや文書の整備、審査対策などをサポートしてくれますが、企業の規模やコンサルの範囲によって費用が大きく変わるので、注意が必要です。

その他費用

そのほかの費用としては、研修や教育の実施、必要な文書の作成や改訂にかかるコストなどが考えられます。これらの費用も、Pマークの取得・維持のためには欠かせない要素となります。

Pマークを取得する方法

Pマークの取得には、一定の手順や要件が求められます。要件のなかには情報管理基準の確立、適切な文書の準備、そして審査の申請と受審などが含まれるので、あらかじめどのような準備が必要になるか把握しておくと対応しやすくなります。

また、Pマークの取得は一度きりではなく、定期的な更新が必要となるため、手続きや要件も理解しておくことが重要です。

以下のステップで、Pマークを取得するための具体的な手続きや注意点、そして更新に関する情報も詳しく解説していきます。この情報を基に対策をとることで、Pマークの取得・更新を進められるでしょう。

1.計画の作成と運用

Pマーク取得の過程は、しっかりとした計画の基で進めることが求められます。

まず、企業全体の情報管理の現状を把握し、どのような点を改善すべきかについて分析します。この段階で、Pマーク取得の目的や期待する効果を明確にし、全社的な取り組みとして位置づけることが重要です。

次に、Pマーク取得のための具体的なアクションプランを策定します。具体的なプランの内容は、情報管理の基準の確立、必要な文書の整備、関連部署との連携体制の構築などが含まれます。

また、よりスムーズに取得するためには、計画の進行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画の見直しをすることも必要になるでしょう。

2.文書・記録の用意

Pマークを取得するときは、企業の情報管理体制や取り組みを示すさまざまな文書・記録の提出が必須となります。

まず、企業の情報保護方針や基本方針を示す「個人情報保護方針」の整備が求められます。個人情報保護方針は、企業がどのような姿勢で情報保護に取り組んでいるのかを外部に示す、重要な文書となります。

次に、具体的な情報管理の手順やルールをまとめた「情報管理手順書」の作成が必要です。情報管理手順書は、情報の取り扱いから保存、廃棄に至るまでの詳細な手順を記載するためのものです。

そのほかにも、従業員の研修履歴や教育内容、情報漏洩が発覚したときの対応手順など、日常の業務運営に関連する記録も整備する必要があります。

これらの文書・記録は、審査の際にPマークの基準を満たしていることを証明するためのものであり、十分な注意を払って整備することが求められます。

3.Pマークの申請

Pマークの申請には、企業の基本情報や取り組みの概要、準備した文書・記録の一覧などを含む申請書類が必要です。この申請書類を申請料とともに認定個人情報保護団体へ提出して申請します。

申請が受理されると、審査のスケジュールが決定され、企業は審査に備える段階に入ります。

この申請段階で重要なのは、すべての書類が正確かつ適切に準備されていることです。不備や誤りがあると、審査が遅れるほか、再申請となる場合もあるため、申請書類を十分に確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも考慮するとよいでしょう。

正確な申請手続きを経て、スムーズな審査を迎えることが、Pマーク取得への大きな一歩となるでしょう。

4.書類審査・現地審査

Pマークの取得プロセスのうち、書類審査では、提出された申請書類がPマークの取得基準に適合しているかを詳細にチェックされます。この段階で不備や誤りが見つかった場合、修正や再提出が求められることもあります。

続く現地審査では、実際の業務での情報管理方法や実態を確認するため、認定個人情報保護団体の審査員が企業を訪問します。審査員は、従業員の取り組みや施設のセキュリティ対策、情報管理の実態などを詳しく確認し、Pマークの基準に適合しているかを判断します。

5.Pマークの取得

書類審査と現地審査を無事に通過すると、ようやく認定個人情報保護団体から正式にPマークの認定を受けられ、企業は公式にPマークを使用する権利を得ます。

取得後のPマークの活用方法も多岐にわたります。たとえば、企業の公式ウェブサイトや広告、名刺などにPマークを掲載できれば、顧客や取引先に対して情報管理への取り組みをアピールできるようになります。これにより、企業の信頼性やブランドイメージの向上につながるでしょう。

また、Pマークの取得は一時的なものではありません。定期的な更新が必要となるため、情報管理の取り組みを継続的に見直し、改善していくことが求められます。

とくに、情報技術の進化や法律の変更にともない、新たな情報保護の課題やリスクが生じる可能性があるため、常に最新の情報保護の知識や技術を取り入れ、適切な対応を心掛けることが重要です。

Pマークは、企業の情報管理への取り組みを外部に示す証になるため、その価値を維持・向上させる努力が不可欠です。

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まとめ

Pマークを取得することは、企業の情報管理体制の強化や信頼性の向上につながるきっかけになります。

Pマークを取得するには計画の策定から文書の整備、申請、審査まで一連の手続きが必要であり、対応に時間も費用も要しますが、企業の信頼性向上や情報漏洩リスクの低減という大きなメリットがあるでしょう。

取得したPマークは、さまざまな場面でのアピールポイントとして活用できます。とくに認証ロゴを名刺に記載できれば、取引先や顧客に対して、情報管理への真摯な取り組みをアピールできます。ビジネスのきっかけになる名刺にPマークを記載すると、一目で企業の信頼性を伝えられるでしょう。

また、サイバーネットでは、Pマークを始めとする各種認証ロゴを選択して追加するサービスを提供しています。企業は簡単に名刺やホームページ、パンフレットなどの資料に認証ロゴを追加でき、情報管理への取り組みをさらに強化できます。

最後に、Pマークは取得することが終着点ではありません。情報管理の継続的な取り組みが求められるスタート地点であることを忘れずに、Pマークの価値を維持・向上できるように取り組み続けることが大切です。

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