社会人として重要なコミュニケーションのひとつに名刺交換がありますが、どんなマナーがあるかわからない方も多いでしょう。名刺交換は第一印象を決める大切な場面であるため、基本的なマナーを把握しておくことが大切です。
名刺をどう渡すか、どちらから差し出すのが正しいのか、新入社員なら分からないことも多いはずです。名刺交換は、これから就職や転職活動を行う方にとって、再確認しておきたいマナーのひとつです。
本記事では、名刺交換でのマナーやNG行為について紹介します。名刺交換をする手順や順番、トラブルの対処法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
名刺交換を同時にするのはマナー違反?
従来の名刺交換では、目下の人や訪問者が名刺を先に差し出すのが基本でした。しかし、最近では同時に交換することが一般的になりつつあります。この変化は、名刺交換の時間を短縮したり、上下関係をあまり重視しない現代の傾向を反映したものです。
とはいえ、同時交換でもスムーズに行うためには、基本的なマナーを押さえておくことが大切です。また、名刺交換を行う前に相手の企業文化などをリサーチし、適切な方法で臨むことが重要です。
名刺を交換する際のマナー
ここでは、名刺を交換するときの基本マナーを紹介します。交換するタイミングに関係なく、渡し方のマナーは共通しています。社会人としての立ち振る舞いを確認しておきましょう。
交換するときは立つ
名刺交換は立って行うのが基本です。たとえ座っている状態で名刺を差し出された場合でも、立ち上がってから交換します。
もしこちらから座っている相手に名刺交換をお願いする場合でも、名刺交換をすることを示しつつ、少し間をおいて相手が立ち上がる時間を確保します。このような気配りが相手に伝わり、好印象を与えられます。
テーブル越しでは行わない
名刺交換はテーブル越しで行うのは避けましょう。交換相手との間には何も障害物がない状態が望ましいです。たとえ座って向かい合っている場合でも、テーブル越しでの交換は避ける方が適切です。
もしテーブルに座っている状態で名刺交換する必要が生じた場合は、立ち上がってテーブルを避け、立って交換します。
ただし、状況によってはテーブル越しで名刺交換せざるを得ないこともあります。その場合は「テーブル越しで失礼いたします」など、一言添えて配慮を示しましょう。
名乗りながら名刺を出す
名刺交換の際は、自分の名前を名乗りながら名刺を差し出すことが大切です。無言で名刺を渡すことは避けましょう。名乗る際には、名前だけでなく、会社名や部署名、役職があれば役職名も添えるのが適切です。
また、名前を伝える際は苗字だけでなく、フルネームで伝えることが望ましいです。
名刺入れの上に乗せて交換する
名刺交換の際は、名刺だけを持って差し出すのではなく、必ず名刺入れの上に名刺を添えた状態で差し出します。
名刺交換に慣れていないと、この動作がスムーズにできないこともあります。事前に名刺を取り出してから渡すまでの一連の動作を練習しておくと、新人でも自信を持って好印象を与えられるでしょう。
複数人の場合は人数分を名刺入れに挟んでおく
一度に複数人と名刺交換をする場合、いただいた名刺はその場でテーブルの上に置かず、必ず名刺入れに挟みます。テーブルに置くことは避け、整理された状態で保管するのが適切です。
名刺入れに挟む際は、自分の名刺と混ざらないように、もらった名刺は一番上に差し込みます。次の人と交換する際には、一番下の名刺を取り出すことで、誤って別の名刺を出さずに済みます。
名刺交換をする手順
ここでは、名刺交換をする手順について紹介します。
1.名刺を準備する
名刺交換の前に、名刺をすぐ取り出せる場所に準備しておきましょう。ジャケットの内ポケットやカバンの外ポケットなどが適しています。小さめのポケットだと、名刺入れを出すときに引っかかってもたつくことがあるため、少しゆとりのあるポケットに入れるのがベストです。
シャツやパンツのポケットに名刺を入れるのは、取り出す際の仕草がスマートではないため避けた方がよいでしょう。また、名刺入れを使わず直接ポケットに名刺を入れるのはマナー違反です。
名刺入れは事前に確認しておき、余裕を持った枚数が入っているか、名刺が汚れたり折れたりしていないか、そして相手の名刺を入れるスペースがあるかをチェックしておきましょう。
2.立ち上がる
会議室などで名刺交換を行う場合、交換相手が来る前に名刺入れを手に持っておきます。そして、相手が来た際には、座ったままでなく、立ち上がって名刺交換を行いましょう。立ち上がることで、より礼儀正しい印象を与えることができます。
3.お互いに名乗る
相手の正面に立ったら、名刺入れを胸の高さに保ちながら自分を名乗ります。少し前傾姿勢で名乗ることで、より敬意を示せます。名乗る際には、会社名や部署名、役職も添えて伝えるのが適切です。
4.名刺を名刺入れの上に乗せる
名乗りながら、名刺を1枚取り出し、名刺入れの上に乗せます。このとき、名刺は相手に向けた状態で置くのが適切です。名刺は両手で持ち、親指を使って名刺がしっかりと固定されるように添えます。
名刺交換の前後は、名刺を常にウエストよりも高い位置に保つようにしましょう。
5.名刺を右手で持ち相手の名刺入れに乗せる
名刺を渡す際は、右手のみで持ち、相手の名刺入れに名刺を乗せます。直接手渡しするのではなく、名刺入れの上に置くことがポイントです。また、名刺が水平になるように保ちながら渡します。
左利きの方は少し難しく感じるかもしれませんが、右手で渡せるように練習しておくとスムーズに行えます。
6.名刺入れを持った左手で相手の名刺を受け取る
自分の名刺入れの上に置かれた相手の名刺は、名刺入れを持っている左手で受け取ります。片手で受け取ることが許されているのか迷うこともありますが、同時交換を行う場合はこの方法で問題ありません。
7.名刺を両手で持ち一言伝える
名刺交換が終わったら、相手の名刺を両手で持ち、「頂戴いたします」などの一言を添えて感謝の気持ちを伝えます。無言で受け取るのは避け、丁寧に言葉を添えることがマナーです。
8.相手の名前を確認する
名刺を受け取った後は、相手の名前を確認しましょう。復唱して読み方に誤りがないかを確認することが大切です。名前を間違えるのは大変失礼にあたるため、「〇〇さまですね」といった確認を行うことが適切です。
もし相手の苗字が珍しく、読み方がわからない場合は「失礼ですが、なんとお読みすればよろしいでしょうか?」と丁寧に確認することが望ましいです。
9.相手の名刺はテーブルに置く
受け取った名刺は、名刺入れに入れず、テーブルに置きます。ただし、直接テーブルに置くのではなく、名刺入れの上に乗せてから置くのが適切です。
複数人と名刺交換を行った場合は、全員の名刺をテーブルに並べることがマナーです。その際、最も目上の方の名刺だけは名刺入れの上に乗せ、ほかの名刺は直接テーブルに置きます。
名刺交換をする順番
ここでは、名刺交換の際の基本的な順番を紹介します。
立場が下の人が先に名刺を渡す
名刺交換では、立場が下の人から名刺を差し出すのが基本です。ここでの「立場」とは、単に役職や年齢に限らず、取引相手との関係にも関わります。
たとえば、受注側と発注側の取引の場合、受注側が発注側よりも目下となるため、受注者の社長が発注者の担当者に名刺を差し出すことになります。一方、営業活動以外のシチュエーションでは、役職が低い立場の人、または訪問した側が先に名刺を渡すことが一般的です。
複数人での訪問は上司から交換する
複数人で訪問する際の名刺交換では、上司から順に名刺を交換するのが基本です。個人の場合とは異なり、複数人での交換では役職順が重要なポイントとなります。事前に並び方を調整しておくことで、相手に役職順がわかりやすくなり、スムーズに名刺交換が進みます。
名刺交換のNG行為
名刺交換に関するルールは、同時交換が主流になりつつあるなど、柔軟に変化しています。しかし、絶対に避けるべきNG行為は依然として変わりません。ここでは、名刺交換のNG行為について紹介します。
名刺を切らす
名刺を切らしていると、相手に対して丁寧に対応していない印象を与えます。名刺入れは定期的にチェックし、名刺交換後は必ず追加するなど、常に名刺を切らさないように習慣づけることが重要です。
万が一、交換時に名刺が切れている場合は、正直にその旨を伝え、口頭で会社名や自分の名前を伝えます。その際、相手の名前や情報をメモするなどして忘れないようにします。
次に会う際には必ず名刺を持参し、自分から渡して謝罪することが大切です。名刺を切らさないことは、名刺交換における基本的なマナーです。
相手企業のロゴに指を置く
ロゴは会社の顔とも言える重要な部分です。そのため、名刺を持つ際にはロゴが隠れないように注意することが大切です。
名刺を受け取る際には、余白部分に指を置き、ロゴや名前の部分が指で隠れないように持つようにします。
名刺の上に資料を置く
名刺の上に資料などの書類を置かないようにします。資料を広げるなど名刺を置く場所を確保できない場合は、名刺をしまう旨を伝えて、名刺入れにしまうのが適切です。
相手の名刺に書き込む
商談相手の特徴や話した内容などをメモしておきたい場合でも、相手の名刺に直接書き込むのはNGです。名刺は相手の個人的な情報が記載された重要なものであり、そこに書き込みをすることは失礼にあたります。
もしメモを取りたい場合は、別のメモ帳やノートを用意し、そこに書き留めるのがマナーです。
ポケットや財布から名刺を取り出す
名刺は必ず名刺入れから取り出すのがマナーです。ポケットや財布に直接しまい、そこから出して相手に渡す行為は避けましょう。このような扱いでは、渡した自分の名刺も丁寧に扱われないだろうと感じられ、印象が悪くなる可能性があります。
名刺入れを常に持ち歩くよう心がけるとよいでしょう。
汚れたり折れた名刺を渡す
名刺は常にきれいで、まっさらな状態のものを渡すことが大切です。何度も出し入れしてくたびれたものや、汚れた名刺は避けましょう。
もし新しい名刺でも、名刺入れの中で折れたり曲がったりしてしまった場合は、きれいなものと取り替えて渡すように心がけます。相手に対して清潔感や丁寧さを示すためにも、名刺の状態には注意を払いましょう。
名刺交換で困った際の対処法
名刺交換では、予期しないシチュエーションやトラブルが発生することもあります。そんな時に慌てず冷静に対応できるよう、いくつかの対処方法を知っておくと安心です。ここでは、名刺交換で困った際のシチュエーションとその対処法を紹介します。
名刺を忘れてしまった
名刺を忘れてしまった場合は「申し訳ございません、名刺を切らしておりまして」と謝り、後日送付することを伝えるのが丁寧です。もし相手が名刺を必要ないと言った場合は、次回会った時に改めて名刺を渡し、謝罪します。
また、名刺を郵送する際は、当日中にお礼とお詫びの手紙を添えるとよいでしょう。
目上の方が先に名刺を渡してきた
本来は目下の人から先に名刺を渡すべきですが、目上の人から先に名刺を差し出された場合は、慌てずにそのまま受け取ります。
そして、その後に「申し遅れました」と自分の名刺を差し出し、相手の差し出した位置より低い位置で差し出すと、謙虚さが伝わります。
名刺交換は手順どおり行うのが正しいマナーです。しかし、目上の方が差し出しているところを待たせて自分の名刺を用意する方が印象が悪くなります。イレギュラーにもスマートに対応し、後で一言添えるなどして気持ちを伝えると好印象です。
相手の名刺がもらえない
相手から名刺をもらえない理由として、今後の取引を考えていない場合や名刺が切れている場合などが考えられます。その場合でも商談を終えた後に「お名刺を頂戴してもよろしいでしょうか」と丁寧にお願いしましょう。
もし相手が躊躇している様子があれば、無理に名刺を求めず、挨拶をしてその場を締めくくるのがよいです。
また、名刺をもらえない理由は、自分がすでにもらったことを忘れている可能性もあります。この場合、催促は失礼にあたるため注意が必要です。事前に相手と本当に初対面かを確認し、名刺ホルダーで整理しておくとトラブルを避けられます。
外国人が相手のとき
外国でも名刺交換文化はありますが、日本ほど重宝されていないため、名刺を持ち歩いていないことも多いです。外国人が商談相手の場合は、名刺交換よりも挨拶や握手など、よい印象を与えられるコミュニケーションを心がけます。
丁寧な対応や親しみやすい雰囲気づくりができるかがポイントです。たとえ相手から名刺をもらえなかったとしても、こちらから名刺を渡しても構いません。
相手が名刺を出すのに手間取っている
名刺交換に慣れていない新人なら、名刺を出すのに戸惑うこともあります。このように、名刺交換のタイミングで相手が手間取っている場合は、こちら側も差し出さずに待ちます。
待つことは親切ですし、相手からも好印象です。このような出来事が、今後のスムーズな商談につながることもあります。
また、冬場ならコートやマフラーなどの荷物で手が塞がっている場合は、焦らずにお互いの体制を整えてから、名刺を交換します。
名刺交換の場に相手がいないとき
名刺交換したい対象者がいないときは、「お渡しいただけますでしょうか」とその場にいる方にお願いします。名刺にメモを添えるなどして、一言加えて渡すのがおすすめです。
基本的に名刺にメモを書くのはタブーですが、自分の名刺であれば相手に対して失礼になることはないため、メモ用紙がなければ名刺に書き込みます。
名刺入れがない
名刺入れを無くしてしまい名刺交換時に間に合わなかったなど、名刺入れが手元にない場面も出てきます。そのようなときでも、直接名刺をポケットなどに入れない方が適切です。
どうしても名刺入れがない場合は、手帳に挟むなどしてきれいに保管し、名刺入れを持ち合わせてないことを謝罪しつつ、手帳から名刺を差し出します。名刺入れと比べると見栄えは悪いですが、そのままポケットから出すよりは丁寧です。
ただし、この方法は臨時の対策のため、無くしたときのことも考えて予備を準備しておきます。
名刺をもらった後の管理方法
名刺には、相手の個人情報が含まれているため、保存する場合や破棄する場合は以下の方法を取り入れます。
名刺フォルダに入れる
保存する必要のある名刺は、名刺フォルダに入れて保管するのがおすすめです。取引先別や業種別に分けれると、後からでも見返しやすくなります。
また、名刺交換した日時や相手の特徴、話した内容などのメモを添えておくと、多くの人と名刺交換していても思い出しやすいです。
メモする場合は、できるだけ当日中に行うと記憶が新しいため、正確な内容を残せます。
不要な場合はシュレッダーにかける
取引が終了した相手や、たまたま会って交換しただけなど、今後に繋がらない相手の名刺が残っていることもあります。不要になった名刺は、定期的に廃棄して整理するのが適切です。
廃棄する場合はそのままゴミとして捨てるのではなく、シュレッダーで細かく裁断して、情報が分からないように処理します。
こちらの記事では、名刺における個人情報の管理方法について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
近年、名刺を同時交換することが主流になりつつあります。交換する時間を短縮するためや、上下関係を特別重んじない環境であれば、自然な流れです。
ただし、交換相手によっては基本のマナーで行う必要もあるため、手順やイレギュラーの対応をしっかり押さえておきます。
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