
現在の日本では紙の名刺を交換するのが主流ですが、近年はデジタル名刺の活用が注目を浴びています。デジタル名刺には、名刺作成や名刺管理の業務を効率化できるという利点があります。 この記事では、デジタル名刺の種類ごとの特徴や使い方のポイントを紹介するとともに、デジタル名刺をビジネスシーンで使うメリット・デメリットを比較しています。デジタル名刺を使ったことがない方は、ぜひこの記事を読んでデジタル名刺の利便性について知っておきましょう。
デジタル名刺とは
紙の名刺に記載する内容を電子データ化したものを「デジタル名刺」や「オンライン名刺」といいます。紙媒体の名刺は相手に会って手渡しするのが基本ですが、デジタル名刺はオンライン上で交換できるため、実際に会わなくても渡せるのが特徴です。 デジタル化した自分の名刺データをあらかじめ用意しておけば、商談や会議に紙の名刺を持参しなくても、簡単にプロフィール情報を提示できます。
デジタル名刺が注目される背景
仕事で初めて会った相手には、名刺を渡すのがビジネスマナーとされています。近年は非対面によるビジネスシーンが多くなっていることから、デジタル名刺の使用者は以前に比べて増えています。
リモートワーク・テレワークの普及
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、出社せずに業務を行うリモートワークやテレワークを導入する企業が増加傾向です。総務省がまとめた「通信利用動向調査」によると、2012年にテレワークを導入している企業の割合は11.5%だったのに対して、2021年には51.9% と大きく増加しています。
従来は、取引先との商談や打ち合わせは対面で行うのが当たり前と考えられてきました。しかし、チャットツールなどオンラインでのコミュニケーション手段が次々と登場し、非対面でのコミュニケーションが円滑にできるようになったことから、リモートワークを積極的に導入する企業も見られるようになりました。
DX推進
ビジネスにIT技術を採り入れて業務に変革をもたらすことを「DX化」と呼びますが、デジタル名刺はDX化を進めるためのひとつの手法として注目を浴びています。デジタル名刺はオンライン上で交換できるほか、名刺の内容をデータとして保管できるため、紙の名刺に比べて名刺管理の業務負担を減らすことができます。
ビジネスにおいては、これまで紙で管理されていた書類を電子管理するペーパーレス化が進んでいて、名刺のデジタル化も業務効率改善の一環として採用されています。
デジタル名刺の種類
デジタル名刺にはさまざまなフォーマットがあり、名刺に記載できる内容や表示させる方法が異なります。代表的な4つのデジタル名刺の特徴について、確認していきましょう。
QRコード型
QRコード(二次元バーコード)を使用したデジタル名刺は、相手にQRコードをスキャンしてもらうだけで名刺の情報を読み取れます。 QRコードは記載できる情報量が多く、紙の名刺と同じような連絡先の情報に加えて、メルマガの登録フォームなど多種多様な情報を自由に記載可能です。
※「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。
NFCカード型
NFCとは「Near Field Communication」の略で、非接触ICチップを用いて近距離の無線通信を行います。NFCカード型のデジタル名刺を利用するときは、専用のカードまたはNFC搭載機器を相手のスマートフォンにかざすだけで名刺情報を読み取ってもらえます。
専用カードを用いるかNFC搭載機器同士であれば情報を共有でき、名刺交換アプリなどの登録は必要ありません。一方、直接かざさなければならないため、オンラインではなく対面での利用に限られます。
アプリ型
アプリを使用するタイプのデジタル名刺は、インストールしたアプリに登録されているデザインを選び、必要な情報を入力して名刺を作成できるツールです。相手が同じアプリを持っていれば、アプリ内で名刺交換ができ、さらに交換した名刺情報はアプリの中で管理されます。
デジタル名刺アプリは、名刺のデザインや機能にバリエーションがあるため、自社が求める機能を備えたアプリを選んで使いましょう。
URL型
QRコードのほかに、URLを相手に送ることで名刺情報を表示させる方式もあります。デジタル名刺のURLをメールに添付したり、Web会議の画面に貼り付けたりして、相手にURLを開いてもらうことで名刺を渡せます。
デジタル名刺のメリット
デジタル名刺を使用している方の割合は、紙の名刺を使っている方に比べてまだまだ少ないといわれており、大半のビジネスパーソンが紙の名刺を活用しているのが現状です。しかし、デジタル名刺にはビジネスシーンで役立つさまざまなメリットがあります。 ここでは、デジタル名刺を利用する6つのメリットを紹介します。
名刺を切らしてしまうことがなくなる
名刺交換の場面になって名刺を切らしてしまったことに気づき、焦った経験がある方は多いのではないでしょうか。名刺を切らした場合は相手にお詫びをし、連絡先をメモに記して渡すなどの対応をする必要があります。
しかし、デジタル名刺はデータで管理されているため、スマートフォンやパソコンが手元にあれば切らしてしまう心配がありません。会議の参加人数が想定よりも多く、紙の名刺を配っている間に枚数が足りなくなってしまったというトラブルもありますが、デジタル名刺なら枚数に制限がなく、途中で不足する事態を回避できます。
名刺を持参し忘れることがなくなる
名刺を持ってきたつもりでも、誤って会社に忘れてきてしまったというケースもよくあります。名刺を持参し忘れた場合は、帰社後に郵送するか、後日あらためて訪問して渡すといった対応を取るのが一般的です。 しかし、デジタル名刺を利用していればそもそも紙の名刺を持ち歩く必要がなく、忘れることがないため安心です。
印刷コストを削減できる
紙の名刺は自社で作る方法と、印刷会社に発注して作成してもらう方法がありますが、どちらも印刷コストがかかります。印刷会社に名刺作成を依頼する場合は、印刷料やデザイン料が発生します。 さらに、名刺がなくなったら追加分を印刷しなければなりませんし、人事異動などで部署や肩書きが変わった場合は名刺を新しく作り直す必要があるでしょう。
それに対して、デジタル名刺は内容の変更をシステム上でスピーディーに行え、保存されたデータを呼び出して編集するだけなので、印刷コストを大幅に削減できます。 また、紙の名刺はデザインにこだわると料金が割高になりがちですが、デジタル名刺には自分でオリジナルデザインやリンクを設定できるサービスが提供されているものもあり、経費を抑えつつ希望するデザインの名刺を作れます。
名刺の作成や更新を簡単に行える
デジタル名刺は、オンライン上でプロフィールを入力するだけで名刺を作成できる便利なサービスです。名刺の内容が変更になったときは即座に情報を更新できるため、人事異動があるたびに印刷会社へ再依頼して名刺を刷り直す手間や時間がかかりません。 もらった紙の名刺が溜まってくると、ファイルやボックスがいっぱいになり、整理するのもひと苦労です。その一方で、デジタル名刺はクラウド上などにデータが保管され、物理的な名刺の保管スペースは不要となります。
対面でもオンラインでも交換できる
デジタル名刺の大きなメリットは、対面で相手に名刺情報を渡すだけでなく、非対面のオンライン上で名刺交換ができることです。 オンラインミーティングやリモート会議が普及し、顔を合わせたことがない相手とオンラインで打ち合わせする機会は今後も多くなっていくと予想できます。
オンライン上で名刺交換が完結するデジタル名刺は、リモートのビジネスシーンに対応できるツールとして、さらに活躍の場が増えていくでしょう。
社内で効率的に情報共有できる
紙の名刺を交換したあとは、基本的に個々の担当者が保管するため、名刺情報が社内で共有されることは少ないでしょう。しかし、名刺の記載内容は会社にとって有益な情報であり、全社員で共有することによってビジネスを円滑にできます。 その点、デジタル名刺は交換後にデータが保存されるため、社内での情報共有が可能です。異動や退職で担当者が変わった場合も、取引先の名刺データが共有されていることで、取引先との関係を良好に保てるでしょう。
デジタル名刺のデメリット
デジタル名刺は、紙の名刺のように印刷するまでのタイムラグや更新の手間がなく便利な一方で、デジタルならではのデメリットもあります。ここからは、デジタル名刺の5つのデメリットについて確認していきましょう。
デジタル機器やネット環境がないと交換できない
デジタル名刺はスマートフォンやタブレットなどの端末を用いて名刺交換をする特性から、端末の充電が切れてしまったり、機器の調子が悪かったりした場合は名刺を交換できなくなります。 データがクラウド上に保存されるタイプのデジタル名刺は、ネットワークを使って端末に情報を呼び出す必要があり、ネットワーク環境がない場所では機能しません。さらに、通信速度が遅いと、デジタル名刺が表示されるまでの待ち時間が長くなるのがデメリットです。
紙の名刺ほど浸透していない
デジタル名刺の普及率は、紙の名刺に対して1割を下回るといわれています。日本において名刺交換は長い歴史のある文化で、コロナ禍やDX化をきっかけにデジタル名刺が注目され始めた反面、紙ではない名刺をやりとりすることに抵抗を感じる方も多いでしょう。
紙の名刺が持つ信頼感はビジネスマンとしての信用度につながるため、取引先の重要な役職についている方にあいさつするときなどは、デジタル名刺ではなく紙の名刺を渡すのが望ましい場合もあります。 また、オンラインで名刺を交換できるツールには多様な種類があり、紙の名刺のように交換形式やマナーが浸透していません。年齢層の高い相手やデジタル機器の操作が不慣れな方には、デジタル名刺よりも紙の名刺を渡すほうが安心感を与えられるでしょう。
お互いデジタル名刺を使い慣れていれば問題ありませんが、相手がデジタル名刺を使ったことがないケースでは、時間をかけて操作方法を説明するよりも、紙の名刺をサッと出したほうがスマートです。
相手によっては交換が難しい
デジタル名刺を好まない方や、デジタル機器に疎い方が相手の場合は、こちらが「デジタル名刺を交換したい」と要望しても交換できないことがあります。 デジタル名刺はさまざまなサービス会社から多彩なバリエーションのサービスが提供されていて、お互いの使っているデジタル名刺サービスが同じであればスムーズに交換できますが、フォーマットの異なるサービスを使用していると交換できない場合があるでしょう。
個性を出しにくい
他者に差をつけるために、個性的なデザインで紙の名刺を作るビジネスパーソンもいます。紙の名刺はデザインの自由度が高く、光沢感のある紙やぬくもりを感じる手触りのよい紙、上質な和紙など、紙の質感でオリジナリティを出せます。 また、紙媒体の名刺は文字やロゴを立体的に浮き出させるエンボス加工を施したり、金箔や銀箔の箔押し加工で高級感を演出したりと、個性的な仕上がりにできるのが利点です。
それに対してデジタル名刺は、利用するサービスのデザインテンプレートのなかから選んで名刺を作成するため、個性あるデザインにしたい方には向いていないでしょう。 たとえば、NFCカード式のデジタル名刺は、表面に会社名や氏名を印字できるサービスもありますが、カードデザインそのものはシンプルなタイプが多いです。
アプリ型は、名刺デザインを自由にアレンジできるサービスがある一方で、決められたフォーマットに必要事項を入力するだけのシンプル設計なタイプもあり、選択するサービスによっては個性を出しにくいでしょう。
情報漏洩のリスクがある
デジタル名刺は、端末に情報を保存するよりもクラウド上で名刺情報を管理するサービスが主流であるため、情報管理を徹底しないとサーバからデータが盗まれてしまう可能性があります。 交換したデジタル名刺には取引先や顧客の個人情報が記載されているため、情報が漏洩してしまうと会社としての信用問題になりかねません。
デジタル名刺を使用するときは、個人情報の管理体制が整ったサービスを選ぶようにしましょう。プライバシーマークの取得、IPアドレスによるアクセス制御、SSLを用いた暗号化といった対策がきちんと採られているデジタル名刺サービスがおすすめです。 デジタル名刺アプリにはSNSとの連携機能がついたサービスもありますが、自動的にSNSへ連携される設定になっていると、意図せず不特定多数の人に名刺情報を閲覧されてしまう恐れがあります。SNS連携機能がついたアプリを使う場合は、連携機能をOFFに設定できるか確認しましょう。
インターネット上に無料で提供されている名刺管理アプリのなかには、セキュリティ対策が万全でないものもあります。アプリの運営者に名刺情報へのアクセスを認めてしまった結果、個人情報を悪用されるケースもあるため、信頼性の高いアプリかどうかチェックしてからダウンロードしてください。
有料アプリはセキュリティ対策が充実していて、無料アプリに比べて安全性が高い傾向にあるといわれています。
デジタル名刺の交換方法
デジタル名刺を使ったことがないと、実際にどうやって名刺を交換すればよいのか戸惑ってしまうでしょう。デジタル名刺は対面・非対面いずれの名刺交換にも対応可能なため、それぞれの方法について流れを説明します。
対面で交換する方法
デジタル名刺を対面で交換する場合、使用するツールによって交換方法が違います。たとえば、NFCカード型のデジタル名刺は、専用のICチップつきカードを相手のスマートフォンにかざすことで名刺情報を取り込んでもらいます。 アプリを使ってデジタル名刺のやり取りをする場合、お互いの使用しているアプリが同じならアプリ上でデータを送り合うか、もしくは名前・ID検索の機能を使うことで名刺交換が可能です。
また、QRコードから名刺情報を表示させるタイプのデジタル名刺であれば、相手のスマートフォンについているQRコード読み取り機能でスキャンしてもらうだけなので、アプリや専用カードなしでデジタル名刺を交換できます。
オンラインで交換する方法
オンラインでデジタル名刺を交換する場合は、名刺情報が記載されたQRコードや専用URLを相手に送信します。受け取った側は、QRコードやURLから Webページにアクセスすることによって、名刺の内容を確認できます。 デジタル名刺は紙の名刺に比べて導入されてからの年数が浅く、デジタル名刺を交換するときのマナーは明確になっていません。
対面での名刺交換は、相手と会議や商談の席で顔を合わせたときに行いますが、デジタル名刺は事前に送信できるため、オンライン商談やWeb会議をスタートする前に送っておくと、商談や会議をスムーズに始められるでしょう。 また、事前に名刺を送ったほうが、名刺の内容に目を通す時間を作りやすいというメリットもあります。
デジタル名刺のURLには、セキュリティ対策として有効期限が設けられている場合があります。期限つきのURLを伝えるときは、相手に有効期限があることを知らせ、いつまでに読み込めばよいのか日付を記載してください。 デジタル名刺はオンライン上で送信するだけで交換が完了しますが、実際に対面していないことにより、コミュニケーションがおろそかになる可能性があります。非対面でデジタル名刺を交換したあとは、電話またはメールで感謝を伝えるなど、フォローを忘れずに行いましょう。
デジタル名刺の活用例
デジタル名刺は、どのようにビジネスシーンで活用されているのでしょうか。ここでは3つの活用事例を紹介するので、デジタル名刺を使うときの参考にしてください。
自己アピール
紙の名刺は限られた用紙のスペースにしか情報を載せられませんが、デジタル名刺は盛り込める情報量の多さが特徴です。社名・氏名・連絡先などの基本情報に加えて、自己紹介の文面を添えると、自己アピールにつながるでしょう。 オンラインの場合は対面せずに相手とコミュニケーションを取るため、基本的に画面からの情報しかありません。対面に比べて自分を知ってもらうための情報量が少ないため、不足した情報を補う必要があります。
そこで、デジタル名刺に自己紹介を載せることで、実際に会っていない相手にも自分の人となりや強みを伝えられます。仕事の実績や取り組んだプロジェクトをポートフォリオにまとめて掲載するのも、ビジネス上のアピールとして有効です。 さらに、対面で名刺を交換できる場合は、デジタル名刺のQRコードを紙の名刺に記載しておき、紙面には載せきれない情報をより詳細に知ってもらう方法もあります。
こちらの記事では、QRコード入り名刺の作成方法や注意点を解説します、ぜひ合わせてご覧ください。
オンライン会議
Skype、Zoom、Google MeetなどのWeb会議ツールには、バーチャル背景にデジタル名刺を表示できる機能があります。名刺情報を記載したQRコードを用意しておいて、Web会議の画面に表示させれば、相手はQRコードを読み取るだけの簡単操作で名刺の内容を確認できます。
それ以外の名刺交換方法としては、PDFなどの画像形式で保存しておいたデジタル名刺を、Web会議のチャットツールを使ってお互いに送信するのがおすすめです。Web会議システムにはチャット機能が搭載されたものが多く、手軽に名刺交換を行えるでしょう。非対面でのオンライン会議は、複数の人が参加していると名前や役職を把握しづらいというデメリットがありますが、デジタル名刺を活用すれば正確な情報を得られるため、会議がスムーズに進められます。
メールの署名欄
デジタル名刺のQRコードやURLは、メールの署名欄に添付できます。オンラインでの商談やWeb会議をするような接点がない取引先へ、メール送信時にデジタル名刺のQRコードやURLを一緒に送ることで、名刺を渡したのと同じ効果を得られます。
まとめ
デジタル名刺は、対面だけでなくオンラインでも名刺交換ができる利便性の高いツールです。交換した名刺の管理もシステム上で行えるため、業務負担を軽減できます。 ビジネスの場では紙の名刺がふさわしいシーンもあるため、以前から使われている紙の名刺と、デジタル名刺を場面によってうまく使い分けましょう。
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